子どもの自然な表情を写真に収めるのは簡単そうでいて、実はとても奥が深いものです。可愛らしさや成長を残しておきたい!という気持ちから写真を撮ろうとしますよね。「笑って!」と声をかければ、すぐさまぎこちなくなり通り一遍の表情に…。本記事では、子育て20年&ブライダルスナップ30年の経験から得た自然体を撮るコツや注意点をご紹介します。
自然体での撮影を行う際には、以下の点に注意することが重要です:
リラックスした環境作り
- カメラマンとのコミュニケーション: 子どもがリラックスできる環境作りは何より大切です。私の場合、公園や自宅など子どもが普段から安心して遊べる場所を選ぶようにしています。一度、スタジオ撮影で緊張してしまった娘が全く笑顔をみせてくれず苦労した経験がありました。それ以来、子どもが遊びや食事に集中しているときに、さりげなくカメラを持って撮りだし、「それなぁに?」「あそこへいってみよう!」「やってみる?」など普段通りの会話を心がけています。その結果、自然な表情や動きとなり、集中している喜びを共感できるようになりました。結果、場の雰囲気もよく自然体の表情に気づけるようになっていきました。
- 快適な場所選び: 子どもにとって撮影場所が心地よく、落ち着ける場所であることが大切です。屋外であれば、自然光のある時間帯や静かな環境が理想的です。
ポーズや表情を強制しない
- 無理にポーズを取らない: 子どもにポーズや表情を指示すると、不自然さが出てしまうことがあります。一度、「もっと笑って!」とお願いしたところ、不機嫌になってしまった娘の写真しか撮れなかったことがあります。それ以来、「そのままで、好きな遊びしてていいよ」と自由にしています。例えばシャボン玉で遊んでいる瞬間は、息を吐き出すことで膨らんでくるという現象に夢中になりますし、お気に入りの歯固めのおもちゃをモグモグしているとよだれが垂れてきますし、夢中になっている姿というのは、その子が五感をフルに使って感覚を実感しながら遊び、できるようになっていくことですので、自然とその子らしさが表れてくるのがポイントです。指示をするというのは遮ることでもあるので、なるべく避けたいですね。
- 表情をリラックスさせる: 笑顔や真顔など、自然な表情というのは、カメラに意識を向けすぎないようにすることが大事です。
ライトと影に気を付ける
- 光の使い方: 自然光を活かした撮影をする場合、太陽の位置を意識して光が顔にうまく当たるように調整しましょう。逆光にならないように気をつけ、柔らかい光が肌に映えるようにします。案外、曇りや雨の日はいい光が包みますよ。
- 影のコントロール: 影が強すぎると不自然になるので、顔や体に強い影が落ちないように注意しましょう。雲一つない陽ざしの強い日は、顔に影が出やすいので、アップの表情を撮るときはおひさまの位置を注意しましょう。
背景との調和
- シンプルな背景を選ぶ: 背景がごちゃごちゃしていると被写体が目立たなくなるため、シンプルで整然とした背景を選ぶことが重要です。自然な風景や単調な色合いの場所が自然体の雰囲気を引き立てます。
無理に“完璧”を求めない
- 欠点や小さな歪みを気にしない: 自然体を目指すなら、完璧でなくてもかまいません。ちょっとした歪みや動きの中に、自然な美しさがあることを忘れないようにしましょう。
服装と髪型
- 自然体に合った服装: 服装がカジュアルで、動きやすいものであることが重要です。あまり堅苦しい服装だとリラックスしづらくなります。
- ナチュラルな髪型: 髪型が過剰に整いすぎていると、逆に不自然に見えることがあります。自然な感じの髪型や軽く整える程度がベストです。とはいえ、七五三などの行事のときはチャントすると思います。お参り後のリラックスタイムもはさんで、花や葉っぱなど自然のものに触れながら、適度な緊張感の中、楽しい時を過ごすのも思い出になりますね。
撮影のタイミング
- 自然な瞬間を捉える: 撮影のタイミングは「今だ!」と思う瞬間が鍵!と思いがちですよね。実はプロカメラマンは、行動の半歩先を読んでいるのです。もちろん「今だ!」と思ってカメラを構えることはきっかけになりますが、閃いた映像を捉えるには、現実を幅広く知覚観察しながら何枚もシャッターを押しているのです。ある日、お気に入りのおやつを食べているときに撮影をしました。その写真を見るたび、その日の楽しい雰囲気まで思い出すことができます。このように、子どもが何かに夢中になっている瞬間やリラックスしている場面こそシャッターを押す絶好のタイミングです。
自然体の撮影では、計画や準備を整えつつも、過度に演出せず、被写体である子どもが本来の自分らしさを表現できる安心する環境を作り出すことがなによりも重要です。
幼児教育で有名なルドルフ・シュタイナーは、『9歳までは夢の中』という言葉を残しています。これは、その頃までの子どもたちは自分と外の世界との境界線がなく、存在全てが「わたし」であり、「わたし」の感じる事が私の心を作っている成長段階だということです。この時期に写真というあまりにも現実的な映像を見せる事は、子どもの空想の世界観を壊して、冷たく味気ないものにしかねません。
思い返してみてください。
子どもの頃の写真の映像。この映像に意識が向くことで、その時に感じていた五感からくる感覚、感情がそぎ落とされていませんか?
子どもは、撮った写真をその場ですぐに確認することを覚えてしまうと、大人が喜ぶポーズや表情をお決まりのようにするようになりがちです。そうすると、自然体の姿からは程遠くなり、撮る側も「ここへ行きました」「これを食べました」「これを体験しました」という単なる記録となってしまい、撮り続けることも面倒になってしまうかもしれません。
子どもとの時間はあっという間に過ぎていきます。その一瞬一瞬を写真として残すことで、大人になった時にもその思い出が鮮明によみがえる宝物になります。私自身も、小学校高学年から中学生になった娘たちと一緒に、幼少期の写真アルバムを見る時間が楽しい時間です。自然体で撮った写真には、その時々の空気感や感情までも写り込むので、一枚一枚がかけがえのない記録になります。
そのためには、お決まりポーズを避ける意味でも、『10歳までは撮った写真は見せない!』を徹底してみましょう。
大丈夫です!子どもは、最初から見せなければ、シャッター音があろうと気にせず、『なにかしてるな~』くらいに流してくれます。実際、我が家の女子2名はそうでした(笑)
写真を撮ることは、親の客観性向上にも一役買ってくれます。
そして、あくまでも、親が勝手にやっていること。なのです。写真のために無理強いしたりせず、愉しんで、一緒の時を過ごしてみてください。
15歳以降くらいから、本当に撮り続けてよかった!となりますよ。愉しみですね!!
コメント